本が好きだ(2022年2月)
こんにちは.
前の記事投稿から330日くらい過ぎているってマジ?
正直に言うとブログの存在を半年くらい忘れていました.いや別に忙しかったとかではなくて,本当に忘れていました.
本題に入りますが,みなさんは最近本を読んでいますか?
読んでいないというあなた,もっと本を読みましょうよ.
読んでいるというあなた,もっと本を読みましょうよ.
記事タイトルどおり,僕は本が好きです.母が読書家で,おもちゃやゲームには厳しいけれど,本ならいくらでも買ってくれるという人だったので,僕も本好きになりました.
でも最近本を読む人も買う人も減ってしまっていて,業界としては厳しい状況ですよね.娯楽の多様化だったり,情報のスピードが爆上がりしている現代社会では当然の潮流とも言えますが.このまま本という文化が衰退していってもいいのか,数千年の歴史をもつ本という文化がたった数十年でサブカルチャーに陥ってしまってもいいのか,それをただ眺めているだけでいいのか,否!
ということで,みなさんにも本を手に取ってもらうために最近読んだ本を紹介していきます.
面白そうだと思ったらぜひ買ってください.Amazonとかではなく書店に足を運んで.
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村上 龍 著『コインロッカー・ベイビーズ』
まずは敬愛する村上龍の作品から.村上龍といえば,テレ東のカンブリア宮殿や,同世代の方なら『13歳のハローワーク』のイメージが強いと思いますが,SF作品が多いです.
村上龍作品で初めて読んだのがこの作品で,引き込まれ過ぎて読む手が止まらず何度も夜更かしをしました.
同時期に別の場所のコインロッカーに捨てられていた2人の赤ちゃんが同じ児童養護施設に入り,同じ里親に引き取られて義兄弟として育ったところから始まります.活発な兄は母を求めて東京を放浪し,陰気だった弟は歌の才能を開花させてスターの道を歩んでいきます.生きる道の違いから生じる2人の衝突や,生い立ちを原因とする苦悩などを描きながら,徐々に2人の目的が重なって最後には...と,だいたいこんな感じです.
このあらすじだとヒューマンドラマかなと勘違いしてしまうかもしれませんが,全然違います.まず日本が世紀末なので.そんな生温い物語ではないです.
文章表現や細かな描写もかなりエグみがあるので,もしかしたら受け付けない人もいるかもしれません.ただ,刺さる人には刺さるので,SFに興味があったり,刺激が欲しいという人はぜひ.
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土井隆義 著『友だち地獄』
小説を除いて一番面白かった本は? と聞かれたら,この本を選ぶかもしれません.
内容としては,「誰からも傷つけられたくないし,傷つきたくない」という若者特有の「繊細な優しさ」について,学校などでのいじめや自殺に絡めながら,その心理が生まれる環境や社会潮流,コミュニケーションについて社会学者が論ずる,といった感じです.
これだけだと陰気な感じがして,何が面白いの? って思うでしょう.でも実際読んでみると,自分が学生だったころの教室の雰囲気や自分の考えをすべて見透かされているような,それぐらい共感・納得できる本なんです.
この本のポイントは二つあって,一つは第一刷が2008年発行だというところです.つまり,今25歳の僕がちょうど学生だったころの状況を分析している訳です.20〜30代前半の人ならなんとなく感じたこともあるであろう,クラスの人といまひとつ仲良くなりきれないようなあの雰囲気がうまく分析・言語化されていて,読んでいてすごく納得できるんですよね.
二つ目のポイントは,2008年の本なのに現代でも十分通じる内容であるところです.例え話や具体例(スマホではなくケータイがメインだったり,mixiが出てきたり)なんかはさすがに時代を感じますが,たとえば,第三章の一部を抜粋してみると,
現代の若者たちは,自己肯定感が脆弱なために,身近な人間からつねに承認を得ることなくして,不安定な自己を支えきれないと感じている.しかし,「優しい関係」の下では,周囲の反応をわずかでも読みまちがってしまうと,その関係自体が容易に破綻の危機にさらされる.その結果,他者からの承認を失って,自己肯定感の基盤も揺らいでしまう.だから彼らは,「優しい関係」の維持に躍起にならざるをえない.(土井隆義,友だち地獄,筑摩書房(2008)より)
こんなのまさにインスタやTikTokでどれだけ “いいね” が貰えるかに躍起になる中高生の話ですよね.当時はまだインターネットが一般的じゃなかったから身近な人間との話になっていますけど,それが現代ではネット上の不特定多数に置き換わったようなものですよ.もしかしたら現代では,身近な人間との対面での付き合いは「強固な関係」を築くことができる極少数に限定していて,身近にいるけど「優しい関係」までに留まる人間との付き合いはほとんどネット上になっているのかもしれませんね.
人間関係やコミュニケーションを見直したいという人はぜひ.
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倉谷 滋 著『ゴジラ幻論』
今回紹介する最後の本です.特撮ファンからするとタイトルから熱いですよね.著者の倉谷先生は形態発生学を専門とする理化学研究所の教授です.
実はまだ全部読み終えてないんですよね,この本.でも面白すぎてどうしても紹介したいから挙げました.
この本の何が面白いって,ゴジラというフィクションの生き物を,進化発生学の立場からめちゃくちゃ真面目に考察しているんですよ.しかもそれが著者の叙述としてではなく,歴代ゴジラ作品に登場した人物の講演議事録やレポートとして書かれているから,自分がゴジラ作品の中の一人物として読んでいる感覚になれます.また,コラムには倉谷先生の子供の頃の話やゴジラに関する思い出話などが書かれていてこちらも面白いです.
(これは個人的意見なのですが,科学者の話は研究の中身だけよりも,研究外のことや趣味,昔の思い出が現在の研究にどう繋がっているか,といった話の方が面白いですよね.「科学リテラシー」がやけに重要視されてますけど,研究者の人間味の部分が発信された方が科学分野はもっと良い方向に盛り上がる気もする.)
まだ読み終えてないので他2冊ほどいろいろ書けないんですけど,たぶん難易度はまあまあ高いです.生物にある程度興味がある人だとかなり面白く読めると思います.
特撮・ゴジラ好きの人はぜひ.
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というわけで,本紹介(2022年2月)は終わりです.
積読(つんどく)している本がまだまだあるので,また何冊か読んだら本紹介しようと思っています.
それまでには他のテーマでも定期的に記事を更新したいです.
また会いましょう.では.